今でも役に立つ、本能寺の変前後の文献資料のまとめ
著者は、本能寺の変に関して92年に朝廷謀略説を提唱し、それ以降同説が世間を席捲した感があったが、その中で公武対立があったという前提に疑問を呈し、本書によりいち早く光秀単独犯説に立つようになった。謀略説ブームの時期に資料を丹念に精査し、光秀単独説を支持した作者の慧眼には敬服する。2007年、作者はさらに光秀単独犯説を補強した新書「だれが信長を殺したのか」を発表したが、だからといってこの本の価値が下がる訳ではない。歴史ファン向けの本で本能寺の変およびその前後の様子(例えば信忠の奮戦振り、そして本能寺の変後の美濃の動静に至るまで)をここまで詳しく述べた本を私は寡聞にして知らない。公武対立の虚構に触れた第4章までで300頁を越す力作で、文献に基づいて確かめられる本能寺の変、その前後の様子は本書一冊で十分把握できる。本書の第5章に関してはまだ詰めが甘く、記述も急ぎ足の感があるが、この点を補強して光秀の叛意形成の過程を詳細に論述したのが上記新書と位置づけられる。したがって、現時点で本能寺の変についてこれから本を読んでみようという人は、鈴木眞哉・藤本正行氏共著の「信長は謀略で殺されたのか―本能寺の変・謀略説を嗤う」で諸説を総覧して謀略説が成り立たないことを理解した後、本著者による本書と上記新書で光秀単独犯説を咀嚼すれば、歴史ファンとしては十分であると考える。
秀逸
真説 関ヶ原合戦も読みましたがとても力量を感じさせる作家です。
文献、資料を丁寧に駆使しながら難解ではなく我々一般の読者にもわかりやすく描かれています。
光秀の謀反については様々の説があるようですがこの作品では時には相づちを打ち時にはきびしく批判を加えながら、信長の息子達の成長に伴っての織田家臣団の再編成と四国攻めに焦点をあてており、新鮮で説得力のある作品となっています。
一門の勢力拡大が目的だったのか、あるいは案外と子煩悩だったのか、信長の意外な一面をみるような気がします。
また信忠の最後も詳述されていますが、信忠は信長の後を継いで恥ずかしからぬ器量をもっていたのではと感慨深くよみました。
非常に好感が持てる一冊
ここ数年、日本史最大の謎の一つ「本能寺の変」における明智光秀の謀反の動機の究明が様々な方面からアプローチされ論議されて中々面白いです。なるほどと考え込ませるものから、偏った先入観、思想から勝手に妄想を広げる“トンデモ”説まで・・・。この本はできるだけ当時の資料・文献から丁寧に事実と客観性を積み上げ常識的に考えて「真相」に迫ろうとしており、非常に有用、好感がもてる本だと思います。これから先新たな当時の資料等が発掘・発見されればまた違った見方、新説が現れるかもしれませんが、「本能寺の変」を論考するに当たり基本的な参考資料に良いかも知れません。
本能寺の変について最高の入門書にして決定版
本能寺の変の原因、光秀謀反の理由について、読みやすい文章と、納得のいく解説で謎解きをしてくれる本です。作者は「織田武神伝」等で、本能寺の変の朝廷黒幕説を基に話を進めていましたが、この本では同説の限界を自ら指摘すると共に、詳細に史料を読み解き、より説得力のある説を提示しています。 また、同時に従来事変の原因として唱えられてきた、様々な説を比較検証しており、読者の疑問を解消してくれます。まさに本能寺の変についての入門書としても最適の一冊と言えます。 歴史、特に日本の戦国史に興味のある人に是非ともお薦めしたい本です。
「真説」シリーズの桐野さんらしさが良い!
「真説関ケ原合戦」などと同様に桐野作人氏が史料を読み解いていく作品。 本能寺の変について、著者は以前別の説(朝廷黒幕説)を書いていたが、今作品では、それを自ら破棄して新たに検証を行っている。 この手の本は、ある程度興味がある人しか読まないのかもしれないが、読みやすく、なおかつ推測だけではない史料の裏打ちがある本なので、本能寺の変について詳しい人にも勧めたい。
学習研究社
だれが信長を殺したのか (PHP新書) 信長は謀略で殺されたのか―本能寺の変・謀略説を嗤う (新書y) 戦国10大合戦の謎―「桶狭間」から「関ケ原」まで、通説に消された真実 (PHP文庫) 信長の戦争―『信長公記』に見る戦国軍事学 (講談社学術文庫) 「本能寺の変」はなぜ起こったか―信長暗殺の真実 (角川oneテーマ21)
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